ドル建て生命保険への高額加入について悩んでおります
- はじめまして。
老後と教育資金のために資産の運用をしたく、色々検討をしております。これまで私自身に運用経験はなく、子供1人共働き家庭です。
もともとは、NISAや変額保険を検討していたのですが、FP相談を利用する中で、ドル建の生命保険に800万〜1千万円ほどを20年間預けてはと勧められました。現段階でですが、基準利率が5%になり加入後20年間変わりません。現在、米国では金利が下がるフェーズに入ったため今入っておくとある程度下がったタイミングで解約してもいいし、20年間持っておくと元本割れせずに利息分も受け取れ元金から約2倍ほどに増えると説明されました。また解約返戻金も3年目から少しプラスになります。途中で一部解約可能です。
預貯金を銀行に預けるのではなく、運用せよという趣旨で、リスクが低いと、この商品を勧められました。
リスクは2点説明されました。①為替の変動で円高になると損。しかし1ドル74円以下にならないと元本割れはしない。現在の為替動向を見るとそこまでの円高になる可能性は低い。②保険会社の倒産。後継会社で利率が是正される可能性がある。
以上のような説明を受け、元本割れせずに2倍に増えるのは良いことのように思うのですが、この先、不確定要素ですが、子供が増えたり住み替えや教育に資金がかかることも考えると、財産の多くを預けることになるため不安を感じております。
なお、ドルから円に換金する際に手数料がかかるのではと懸念しましたが、1ドル50銭程で大した額ではないと言われました。また、解約して受け取る際には一時所得として税金がかかることも言われました。
以上のお話を受け2点お伺いです。
①リスクが他にもある、あるいは私の認識違いがあればご指摘お願い致します。
②皆さまでしたら、この商品を含め何を勧められますか。この商品を勧める、違う商品を勧める、何かと併用すべきなどあると思いますが、ご意見伺いたいです。
長々と申し訳ございません。
当方、大変悩んでおりまして、是非、皆さまの忌憚ないご意見、アドバイスを何卒お願い致します。 -
ファイナンシャルプランナーの小柳善寛と申します。
ご相談いただき、またここまで丁寧に状況をお伝えくださり、ありがとうございます。老後とお子さまの教育資金、どちらも大切な目標ですね。
そして、運用経験がない中で大きな決断をするのは、とてもご不安なお気持ちだと思います。まず、いただいたご質問について順にお答えいたします。
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【1】リスクや認識違いはありますか?
ドル建て保険は、確かに魅力的な部分もありますが、リスクや注意点もいくつかあります。
1、為替リスク
説明では「手数料が50銭程度」とのことでしたが、重要なのは「為替レート」そのものです。
たとえば契約時よりも円高(1ドル=150円→100円)になると、せっかくドルで増えても円に換算したときに受取額が目減りしてしまうリスクがあります。
つまり、手数料よりも為替変動そのものが大きなリスクです。2.、流動性リスク
確かに「途中解約可能」で「3年目からプラス」とありますが、まとまったお金を20年ロックしてしまうのは、教育資金など近い将来に必要になるかもしれないお金には向きません。
もし急に大きな出費があった場合、必要なタイミングで十分な資金が引き出せないリスクも考えておくべきです。
3、金利リスク
現段階では「5%」と良い条件ですが、もし今後世界の金利環境が大きく変わった場合、今契約した条件が「将来的にそこまで良い条件とは言えない」可能性もあります。
一度契約するとその条件で固定されるので、柔軟な見直しがしにくいこともリスクのひとつです。
【2】私ならお勧めするか?
結論から申し上げると、
「すべてをこの商品にまとめるのはおすすめしません」
ただ、一部を活用するのは十分ありだと考えます。理由は、資産運用の基本は「分散」だからです。
また、ドル建てのリスクをきちんと理解できるなら、株式や投資信託のようなハイリスク・ハイリターンを狙う運用だけが正解ではありません。むしろ、米国債を中心とした安定資産を裏付けに持つドル建て保険は、堅実な資産形成の選択肢のひとつです。
たとえば:
・手元の生活防衛資金(すぐに使える円資産)
・外貨資産(ドル建て保険や米国債)
・世界株式中心の運用(つみたてNISAやiDeCo)
こうしてバランスよく持つことで、将来の変化にも柔軟に対応できるポートフォリオが作れます。
日本円だけに依存するのはリスクが高まっているため、今後は「通貨分散」も意識したいところです。
その意味でも、ドル建て保険をうまく活用するのは賢い選択肢の一つと言えるでしょう。
米国債についてのまとめ案
アメリカも課題を抱えていますが、それでも米国債は、世界最大の経済規模と基軸通貨ドルを背景に、相対的に最も信用力の高い資産とされています。
特に、有事の際に「最後にお金が集まる先」として機能してきた歴史があり、リスクを抑えながら資産を運用したい場合には、裏付け資産としての信頼性は高いと言えます。
【円は大丈夫か?】
・預貯金(手元にすぐ動かせる資金)
・円建ての安全資産(個人向け国債など)
日本円は、主要国最弱通貨とも言われ、少子高齢化やGDPの低迷など、構造的な課題を抱えています。
そのため、これからは「円だけ」ではなく、「外貨資産」や「国際分散投資」を意識した資産形成がますます重要になっていくでしょう。・成長を狙った運用(つみたてNISAやiDeCoなど)
・一部をこのドル建て保険に
このように、資産をいくつかの「性格の違うカゴ」に分けて管理するのが理想です。
そうすれば、急に教育資金が必要になった場合でも、慌てずに対応できるでしょう。また、資産運用は「手数料が安い・長期・分散・積立」が王道です。
この原則に沿ったつみたてNISAやiDeCoも、ぜひ引き続き検討を続けていただきたいです。
ドル建て保険だけに依存するより、ずっとバランスの良い資産形成ができると思います。⸻
最後に
相談者さまが今感じている「なんとなくの不安」は、決して間違っていません。
むしろ、大きなお金を動かすときこそ、このように慎重に考えることがとても大切です。
「ちょっと心配」と感じる自分を信じて、焦らず、今後の人生設計に合った選択をしていきましょう。もしも「このくらいなら納得できる」という金額だけドル建て保険に預け、残りを自分たちのライフプランに合わせて柔軟に運用していけば、きっとご家族にとって一番安心できる未来につながると信じています。
相談者さまとご家族にとって、より良い未来が開けますよう、心から願っております。
ファイナンシャルプランナー
小柳 善寛

