iDeCoで学資を貯めるのはどうでしょうか?

現在、5歳になる子どもが1人おり、そろそろ学資保険への加入を検討しています。ですが、最近になって「iDeCo(個人型確定拠出年金)」も将来の教育資金に活用できるという話をよく耳にするようになりました。

私たちは共働きで、世帯年収はおおよそ700万円です。教育費だけでなく、老後資金や住宅ローンの返済、毎月の生活費など、バランスよく資産形成していくことが必要だと感じています。

学資保険のように確実に貯まる安心感も魅力ですが、iDeCoは節税効果があると聞き、とても気になっています。

教育資金を効率よく準備しながら、できれば税金面でも得をしたいのが本音です。

このような家庭環境・年収帯の場合、学資保険とiDeCoのどちらがよりメリットがあるのか、また併用する選択肢はあるのかについて、詳しく教えていただきたいです。

はじめまして。ファイナンシャルプランナーの小柳善寛と申します。

このたびはご相談をいただき、ありがとうございます。
教育費・老後資金・住宅ローンといった“人生三大支出”に対して、真剣に向き合っておられるお姿に、心から敬意を表します。

さて、ご質問の「iDeCoで教育資金を準備できるか?」という点についてですが、
結論から申し上げますと、iDeCoは教育資金の目的には基本的に不向きです。

■ iDeCoが教育資金に向かない3つの理由

第一に、iDeCoは原則として60歳まで引き出せない制度であるため、
お子さまが高校・大学進学を迎えるタイミング(今から約13年後)には、どうしても資金を使うことができません。

第二に、運用にはリスクがあるという点も見逃せません。
長期運用でリターンが見込める一方で、相場が悪化したタイミングで資金が必要になると、
大きく目減りした状態で取り崩さざるを得ない可能性もあります。

そして第三に、iDeCoは一度始めると柔軟な見直しが難しいという点です。
「塾代が思ったよりかかるから少し取り崩したい」
「親の介護が始まり、支出のバランスを見直したい」――
そんなライフプランの変化にも対応しにくいのがiDeCoの特徴です。

■ 教育資金に必要なのは「使いやすさ」と「計画性」

教育費というのは、使う時期があらかじめ決まっていて、しかも一括で必要になることが多いお金です。
そのため、自由に引き出せて、計画的に積み立てられる仕組みがもっとも適しています。

「節税しながら増やしたい」というお気持ちは非常に共感できますが、
教育費に関しては、「増やす」こと以上に「必要なときに確実に使える」ことが最も大切です。

■ 教育資金と老後資金、それぞれに合った制度とは?

まず、学資保険は教育費の積立に特化した商品です。
途中解約には注意が必要ですが、計画的に積み立てれば、一定の返戻率と保障を得ることができます。

一方、iDeCoは、老後資金を作るための専用制度です。
節税効果が大きく、積立額がそのまま所得控除になるため、共働き家庭にとっては非常に有利な制度といえます。
ただし、繰り返しになりますが、教育費には使えない点が最大の注意点です。

そして、つみたてNISAは、教育資金と老後資金のどちらにも柔軟に対応できる制度です。
運用益が非課税で、いつでも資金を引き出せる点が魅力であり、自由度と成長性を両立した選択肢といえるでしょう。

■ よくあるご質問:「たかが10年でNISAは増えるの?」

確かに、「10年で本当に資産が増えるの?」という疑問はよくいただきます。
短期で見れば上下の波はありますが、過去のデータでは、10年以上の長期運用で元本割れするリスクは大きく低下していきます。

もちろん、絶対に増えると断言できるものではありません。
ですが、「長期」「分散」「積立」という投資の基本を守れば、時間が最大の味方となり、リスクはある程度コントロールできるのです。

■ 万が一への備えとしての「変額年金」も検討を

また、もし教育資金を「万一の備え」も含めて考えたい場合には、変額年金(保険型)も選択肢に入ります。
死亡保障が付いているため、「これは子どもの大学資金に」「これは妻の生活費として」といった“名前のついたお金”として家族に残すことができるのが特徴です。

変額年金は、運用の自由度と保険機能を兼ね備えた制度ですので、
つみたてNISAやiDeCoとはまた違った安心を得ることができます。

■ 最適なのは、制度の“組み合わせ”です

つまり、大切なのは「どれが一番良いか」ではなく、
**「目的ごとに合った制度をどう組み合わせるか」**という視点です。

・教育資金 → 自由に使えて成長も見込める「つみたてNISA」+ 必要に応じて「学資保険」

・老後資金 → 節税効果の大きい「iDeCo」

・万一の備え → 「変額年金」で目的のある保障を

それぞれの制度には、それぞれの“強み”があります。
無理に一つに絞る必要はなく、目的に応じて最適な仕組みを組み合わせることこそが、家族の未来を守る堅実な戦略になります。

■ 最後に

お金は、ただ“貯める”“増やす”ためだけのものではありません。
大切な家族と、未来の安心を支えるための手段です。

Yuko37さんのご家庭が、これからも安心と笑顔に包まれた日々を歩んでいけるよう、
「目的あるお金」「備えある選択」が、ひとつでも多く並びますように。
そのお手伝いができましたら、ファイナンシャルプランナーとしてこの上ない喜びです。

またいつでも、お気軽にご相談くださいね。

ファイナンシャルプランナー
小柳善寛